卒論の図の引用の書き方|出典表記と加工時の実務ルール

最終更新日:2026年8月14日

この記事でわかること

  • 卒論で他人の図を引用する場面と目的
  • 引用と転載の違い(著作権法上の区別)
  • 適法な引用の4要件(必然性・明瞭区別性・主従関係・出典明示)
  • 出典表記の基本形と媒体別の書き方(書籍・論文・Web)
  • 加工した場合の書き方(そのまま/加工/改変)
  • 著作権者への許諾が必要なケースの見極め
  • Wikipedia・Web図表引用の注意点
  • よくある失敗5つと回避方法

執筆:レポートビズ編集部
2021年5月の開業以来、累計6,000件超のレポート・卒論作成の依頼に対応してきた編集チームが、卒論における図の引用ルールを業界内部の視点で体系的にまとめている。引用と転載の違い・4要件・媒体別書式・加工時のルールまで、実務的な引用ガイドとして構築した。

「他人の図を卒論で使いたいがどう書けばよい?」「出典はどう書く?加工した場合は?」——このキーワードで検索する人は、卒論で図の引用に悩んでいる大学生である。

結論から言えば、卒論で他人の図を引用する際は、著作権法の「引用」の4要件(必然性・明瞭区別性・主従関係・出典明示)を守れば、原則として著作権者の許諾なしに使える。ただし「引用」の範囲を超える場合や、加工・改変する場合は転載扱いとなり、許諾が必要となる。キャプションに「出典:〇〇氏(2020)より引用」または「〇〇氏(2020)より筆者作成」と明記することが基本ルールである。

上位の記事は個別の要素(著作権・出典)を扱うが、体系的な整理は少ない。本記事では、引用と転載の違い・4要件・媒体別書式・加工時のルール・許諾要否・Web引用の注意までを実務的に整理する。

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卒論で他人の図を引用する場面と目的

結論:卒論で他人の図を引用する場面は「①先行研究の紹介、②統計・データの提示、③理論・モデルの説明、④歴史的資料の提示」の4つが主である。それぞれ引用の必然性が求められる。

引用する場面と目的を整理する。

先行研究の紹介と統計・データ

先行研究セクションで、他の研究者の分析結果を示すために図を引用する。また、政府統計や業界データを本文の根拠として提示する場合も、原典の図を引用することが多い。

詳細は卒論の先行研究とはもあわせて参照してほしい。図の引用は、卒論の学術性を高める重要な手段である。

理論・モデルの説明

先行研究で提唱された理論やモデルを説明する際、原著者が用いた図を引用することが多い。「〇〇氏の△△モデル」を自分の言葉で図解し直すより、原典を引用する方が正確である。

ただし、単純なモデルなら自分で描き直す方が、卒論全体の統一感が保たれる。

歴史的資料の提示

歴史的な図・写真・地図など、自分では再現できない資料は引用する必要がある。「1970年代の広告」「明治期の絵図」などが典型である。

歴史的資料は「原典が唯一の情報源」であるため、引用が不可欠となる。

引用と転載の違い(著作権法上の区別)

結論:「引用」は著作権法第32条で認められた行為で、要件を満たせば許諾不要である。「転載」は引用の範囲を超えて図を使う行為で、必ず著作権者の許諾が必要となる。この2つの違いを理解することが、図の引用の出発点である。

2つの違いを整理する。

引用の定義

「引用」とは、著作権法で認められた条件下で、他人の著作物を許諾なしに使える行為である。学術・報道・批評・研究目的で、要件を満たせば適法となる。

慶應メディアセンターの資料によれば、「引用」の範囲内であれば、一般的には許諾なしに利用することができるとされる。ただし要件を守ることが前提である。

転載の定義

「転載」とは、引用の範囲を超えて図を使う行為である。「多数の図を使う」「図をメインコンテンツとする」「加工・改変する」といった場合は転載扱いとなり、必ず著作権者の許諾が必要となる。

日本医書出版協会の解説でも、転載は必ず書面で許諾を得るべきとされる。判断に迷ったら、原著者・出版社に確認する姿勢が安全である。

実務的な判断

卒論の場合、図を1〜2枚程度の少量引用するなら「引用」の範囲となり、許諾不要のケースが多い。ただし、卒論をWeb公開する場合は転載扱いとなる可能性がある。

大学リポジトリで公開する場合、事前に許諾を取っておくのが安全である。指導教員に相談したい。

適法な引用の4要件

結論:適法な引用の4要件は「①必然性、②明瞭区別性、③主従関係、④出典明示」である。この4要件を全て満たさないと、引用として認められず著作権侵害となる可能性がある。

4要件を整理する。

要件①:必然性

必然性:引用する必要性が明確であること。「装飾のため」「見栄えのため」ではなく、卒論の議論に不可欠な図であること。

「なぜこの図を引用するか」を、本文中で明確に説明する必要がある。必然性のない引用は、引用の要件を満たさない。

要件②:明瞭区別性

明瞭区別性:引用部分と自分の記述が明確に区別されていること。「どこが他人の図で、どこが自分の記述か」が一目で分かる状態が必要である。

キャプションで「(〇〇より引用)」と明示することで、この区別が担保される。

要件③④:主従関係と出典明示

主従関係:自分の記述が「主」で、引用が「従」であること。引用が主で自分の記述が従になると、引用の範囲を超える。出典明示:著者名・年・出版元・ページ番号などを正確に記載する。

詳細は卒論の文献の書き方もあわせて参照してほしい。出典明示は引用の絶対条件である。

出典表記の基本形と媒体別書式

結論:出典表記は「出典:著者名(発行年)『書名』出版社、ページ」が基本形である。書籍・学術論文・Webサイトで書式が微妙に異なるため、それぞれの型を理解する必要がある。

媒体別の書式を整理する。

書籍からの引用

基本形:「出典:山田太郎(2020)『経営学入門』〇〇出版、p.45」。図が掲載されているページ番号は必ず記載する。

翻訳書の場合は「著者名、翻訳者名訳(発行年)『書名』出版社、ページ」の形になる。原著の情報を漏らさないことが重要である。

学術論文からの引用

基本形:「出典:佐藤花子(2023)「〇〇の分析」『日本経営学会誌』第56巻2号、p.30」。巻・号・ページを明記する。

DOIがある場合は追記する。学術論文からの引用は、卒論の学術性を最も強く担保する。

Webサイトからの引用

基本形:「出典:総務省(2024)『人口統計データ2024』URL(参照2024-06-30)」。URLと閲覧日は必須である。

Webサイトは更新される可能性があるため、閲覧日の記載が特に重要である。

加工した場合の書き方(そのまま/加工/改変)

結論:図の使い方は「①そのまま引用、②一部加工、③大幅改変」の3パターンがある。パターンによって出典表記の書き方が異なる。「引用」「筆者作成」「筆者改変」の使い分けが重要である。

3パターンの書き方を整理する。

そのまま引用

原図をそのまま(色・大きさ調整程度)引用する場合は、「〇〇氏(2020)より引用」と表記する。原図と全く同じ内容であることを示す。

これが最もシンプルで安全な引用方法である。原図に手を加えない姿勢が原則である。

一部加工(データ追加・凡例変更)

元データを使いつつ、自分でグラフを作り直した場合は「〇〇氏(2020)より筆者作成」と表記する。「元データは他人、可視化は自分」を明確にする。

この形式は、卒論で最も多用される。「筆者作成」の一語で、加工の事実を示せる。

大幅改変

原図の構造を大きく変更する場合は「〇〇氏(2020)を筆者改変」と表記する。ただし、改変には著作者人格権の問題があり、原則として著作者の了解が必要となる。

日本原子力学会の資料でも、修正した図の使用時は「著者が手を加え作成した」旨を明記することが求められている。改変は慎重に行いたい。

著作権者への許諾が必要なケース

結論:許諾が必要なのは「①引用の範囲を超える(多数の図を使う等)、②大幅な改変を加える、③商業利用する、④Web公開する場合の一部の図」である。判断に迷ったら、原著者・出版社に問い合わせる姿勢が安全である。

許諾が必要なケースを整理する。

引用範囲を超える場合

1つの出典から3〜4個以上の図を引用する場合、引用範囲を超える可能性が高い。情報処理学会の目安では「図を1、2点程度」が引用の範囲とされる。

1つの出典から多数引用する場合は、その学会・出版社のポリシーを確認したい。

Springer Nature等の学術出版社

Springer Nature社等の学術出版社は、独自の許諾ポリシーを持つ場合がある。「引用に該当する場合でも許諾を求める」ポリシーの出版社もある。

海外の学術誌から図を引用する場合、必ずその出版社のポリシーを確認したい。RightsLink等の許諾申請サービスを持つ出版社もある。

Web公開する卒論

卒論を大学リポジトリで公開する場合、印刷卒論とは異なる著作権上の配慮が必要となる。多くの学会では、Web公開時は許諾を求めるポリシーである。

大学リポジトリでの公開が予定される場合、事前に指導教員に相談したい。

Wikipedia・Web図表引用の注意点

結論:Wikipediaの図・Web上の図は、著作権の状態が不明瞭な場合が多い。学術的な出典として使うのは避け、原典(政府統計・学術論文等)に辿り着いてから引用するのが原則である。

Wikipedia・Web図表の注意点を整理する。

Wikipediaの図

Wikipediaの図は、CCライセンス(クリエイティブ・コモンズ)で公開されている場合がある。ライセンス表記がある場合、条件を守れば引用可能である。ただし、学術的な出典としてはWikipediaは推奨されない。

Wikipediaが引用元としている原典に辿り、その原典を引用する姿勢が理想である。

個人ブログ・企業サイトの図

個人ブログや企業サイトの図は、著作権が明示的に主張されていることが多い。原則として引用は避け、公的機関(政府・大学・学会)の資料に置き換えたい。

詳細は卒論の画像引用もあわせて参照してほしい。個人サイトの図は、学術的な出典としては信頼性が低い。

公的機関のWebサイト

政府・自治体・独立行政法人のWebサイトの図は、「転載禁止の表示」がなければ引用しやすい。ただし、出典明示は必ず必要である。

「出典:総務省統計局(2024)『〇〇統計』URL(参照2024-06-30)」の形式が典型である。

卒論の図の引用に関するよくある質問(FAQ)

卒論の図の引用について、よく寄せられる質問を7つに整理した。

Q1. 出典を書けば何でも引用してよい?

NGである。引用の4要件(必然性・明瞭区別性・主従関係・出典明示)を全て満たす必要がある。出典表記は要件の1つに過ぎない。

「装飾のため」「見栄えのため」の引用は、必然性の要件を満たさない。

Q2. 引用と参考文献の違いは?

引用は「本文中で他人の著作物を使う行為」、参考文献は「巻末の一覧」のことである。引用した図の出典は、キャプションに書くだけでなく、巻末の参考文献リストにも掲載する必要がある。

両者は連動するが、役割が異なる。詳細は卒論の文献の書き方もあわせて参照してほしい。

Q3. 原典が読めない図はどうする?

原典が英語論文で読めない場合、翻訳して引用するのは可能である。ただし「(著者名 2020,筆者訳)」と、翻訳の事実を明記する。

翻訳の正確性は自己責任である。翻訳ツール(DeepL等)を使う場合も、内容を確認する姿勢が必要である。

Q4. 孫引き(引用の引用)はOK?

原則NGである。必ず原典に辿ってから引用する姿勢が理想である。やむを得ない場合は「〇〇(2020)による△△の引用」と、孫引きであることを明示する。

孫引きは、原典の意図が正確に伝わらないリスクがある。可能な限り原典を参照したい。

Q5. 図の一部だけを切り出して使ってよい?

可能だが、著作者人格権(同一性保持権)に注意が必要である。切り出しにより原図の意図が歪む場合は、著作者の了解が必要となる。

切り出す場合は「〇〇氏(2020)より一部抜粋」と明示したい。

Q6. 卒論を公開しない場合は自由?

大学内部での提出・審査目的なら、著作権法上の「引用」の範囲でかなり自由に扱える。ただし、大学リポジトリで公開する場合や、学会発表・出版する場合は、引用ルールをより厳密に守る必要がある。

公開の有無で扱いが変わる点に注意したい。

Q7. 著作権侵害になった場合の影響は?

卒論の場合、大学内部での取扱いなら民事上の請求は稀だが、剽窃として学則違反となる可能性がある。単位取消・卒業取消の処分もあり得る重大な問題である。

詳細は卒論が落ちる7つのパターンもあわせて参照してほしい。「バレないだろう」は極めて危険な判断である。

まとめ|4要件遵守と正確な出典表記が引用の絶対条件

卒論で他人の図を引用する際は、著作権法の「引用」の4要件(必然性・明瞭区別性・主従関係・出典明示)を全て満たすことが絶対条件である。要件を満たせば原則として許諾不要だが、加工・改変・多数引用の場合は転載扱いとなり、著作権者の許諾が必要となる。「そのまま引用」「筆者作成」「筆者改変」の使い分けを正しく行いたい。

本記事で提示した引用と転載の違い・4要件・媒体別書式・加工時のルール・許諾要否・Web引用の注意を踏まえれば、卒論の図の引用を安全かつ適切に行える。

  • 引用は許諾不要(要件遵守が条件)、転載は許諾必須
  • 引用の4要件:必然性・明瞭区別性・主従関係・出典明示
  • 出典表記は「著者名(年)『書名』出版社、ページ」が基本形
  • Webサイトは閲覧日必須、DOIがあれば追記
  • 使い方3パターン:そのまま引用/筆者作成(元データ利用)/筆者改変
  • 1出典から3〜4個以上の引用は転載扱いの可能性、要許諾
  • Wikipedia・個人サイトの図は避け、公的機関・学術論文を優先
  • 大学リポジトリ公開時は許諾を事前に取ることが安全

より詳細な情報は、卒論の画像引用卒論の文献の書き方卒論のグラフ卒論の図表もあわせて参照してほしい。

卒論の書き方や図の引用に不安が残る場合、参考資料としての外部活用も選択肢となる。レポートビズのような、卒論の参考資料作成を請け負う業者に相談してみるのも1つの道である。公式LINEから匿名で無料相談ができるので、まずは現状の相談から始めるのが安全な出発点となる。

ただし、外部の作成物をそのまま提出することは大学の学則違反となる。あくまで参考資料として活用し、最終的な卒論は自分の言葉と自分の考察で仕上げるという原則は守りたい。図の引用ルールを正確に理解し、質の高い卒論を書き上げていってほしい。

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