卒論書けない発達障害|特性別の困難と合理的配慮5ステップ

最終更新日:2026年8月10日

この記事でわかること

  • 発達障害の3タイプ(ADHD・ASD・LD)と卒論で生じる具体的な困難
  • 診断済み/未診断/グレーゾーンの3ケース別のアプローチ
  • 障害者差別解消法に基づく合理的配慮の権利
  • 大学の障害学生支援室(アクセシビリティセンター)の活用方法
  • 合理的配慮を受けるまでの5ステップ
  • 特性別の具体的な工夫(ADHD向け・ASD向け・LD向け)
  • 家族・保護者ができる支援の仕方

執筆:レポートビズ編集部
2021年5月の開業以来、累計6,000件超のレポート・卒論作成の依頼に対応してきた編集チームが、発達障害の特性で卒論に困難を抱える学生のために、実践的な情報と支援制度の使い方を、業界内部の視点で誠実に整理している。

この記事を読むあなたへ:この記事は医療的な診断を目的とするものではない。当社は医療機関ではなく、医学的な判断は行えない。もし「自分は発達障害かもしれない」と感じている場合、まず大学の保健センター・学生相談室に相談してほしい。既に診断を受けている場合、大学の障害学生支援室(アクセシビリティセンター)への相談を推奨する。合理的配慮の申請は、障害者差別解消法に基づくあなたの正当な権利である。

「卒論 書けない 発達障害」——このキーワードを検索する人には、複数の状況が考えられる。既に発達障害の診断を受けていて卒論の執筆に困難を感じている、自分が発達障害かもしれないと感じ始めている、家族や支援者として学生をサポートしたい——それぞれの立場で、この検索行動につながっている。

まず伝えたいのは、発達障害の特性で卒論に困難を感じることは決して「甘え」ではなく、脳の特性による自然な現象であるということである。日本では2016年の障害者差別解消法により、大学は障害のある学生に対して合理的配慮を提供する法的義務がある。あなたには、この配慮を受ける権利がある。

この記事では、発達障害と卒論の関係、特性別の困難と対処、診断済み/未診断/グレーゾーン別のアプローチ、合理的配慮の申請方法、大学の支援制度の使い方を、累計6,000件超の相談実績から得た知見をもとに整理する。医学的な診断はしないが、実践的な情報と、あなたが権利として受けられる支援制度を、業界内部の視点で誠実に伝えることを目的としている。

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「卒論が書けない」と発達障害の関係|関連はあるが決めつけは危険

結論:卒論と発達障害の間には明確な関連があるが、「卒論が書けない=発達障害」と決めつけることは危険である。まず状況を丁寧に整理したい。

この関係を正しく理解することが、対処の出発点となる。焦って結論を出さず、丁寧に自分の状況を見つめたい。

なぜ発達障害と卒論は関連するのか

卒論は発達障害の特性が顕在化しやすい課題である。大学生活を問題なく過ごしてきた学生が、卒論で初めて困難に直面するケースは珍しくない。

  • 自由度が高く、自分で構造化する必要がある
  • 長期間の集中と計画性が必要
  • 抽象的な指示への対応が必要
  • 指導教員との継続的なコミュニケーションが必要
  • 先行研究の読解と統合が必要

これらは全て、発達障害の特性で苦手とされる領域と重なる。だからこそ、卒論で初めて困難を感じる学生が多い。これまで問題なく大学生活を送ってきた学生が突然壁にぶつかるのは、卒論という課題の性質が原因である。

ただし決めつけは危険

「卒論が書けない=発達障害」と即断することは危険である。卒論の困難には様々な原因があり、発達障害はその1つに過ぎない。

  • 単なる準備不足の可能性
  • 指導教員との相性の問題
  • メンタルヘルスの一時的な不調
  • 睡眠不足や体調不良
  • テーマ設定の失敗

医学的な診断は専門医のみができるものであり、自己判断で「自分は発達障害だ」と決めるべきではない。ただし、疑いを持ったなら医療機関で相談する価値は十分にある。診断の有無にかかわらず、大学の学生相談室・保健センターへの相談は、状況改善のための重要な第一歩である。

「甘え」ではない

発達障害の特性で困難を感じることは、決して「甘え」ではない。脳の特性による自然な現象である。

「他の学生はできているのに自分だけできない」と自分を責める学生は多い。しかし、それは特性の違いであり、努力不足ではない。あなたには合理的配慮を受ける権利がある。この違いを認識することが、状況改善の第一歩となる。

「甘え」ではない、と自分に何度でも言い聞かせてほしい。この記事を読んでいるあなたには、権利がある。その権利を使うことは、恥ずかしいことでも申し訳ないことでもない。

発達障害の3タイプと卒論での困難

結論:発達障害には主に3つのタイプがあり、それぞれ卒論での困難の現れ方が異なる。自分の特性を理解することが、適切な対処の出発点となる。

発達障害と一括りに言っても、特性は多様である。以下で3つの主要なタイプを整理する。ただし、複数のタイプの特性を併せ持つケースも多い。診断名に振り回されず、自分の具体的な困り事に注目することが重要である。

ADHD(注意欠如・多動性障害)と卒論

ADHDの特性は、集中の持続困難・衝動性・計画性の弱さなどである。卒論では以下のような困難が生じやすい。

  • 長時間の集中が続かない
  • 締切間近まで手をつけられない(先延ばし)
  • 計画通りに進められない
  • 興味のある部分ばかり進めて、必要な部分が後回し
  • 参考文献の管理が煩雑になる

ADHDの学生は「本当はできるはずなのに、机に向かえない」というジレンマに苦しむことが多い。これは意志の弱さではなく、脳の実行機能の特性である。

ASD(自閉症スペクトラム)と卒論

ASDの特性は、社会的コミュニケーションの困難・こだわりの強さ・感覚過敏などである。卒論では以下のような困難が生じやすい。

  • 指導教員の抽象的な指示が理解できない
  • 「まとめる」「工夫する」などの曖昧な言葉に困る
  • 完璧主義でどこまで書けば良いかわからない
  • テーマの絞り込みが苦手
  • 感覚過敏で作業環境の維持が難しい

ASDの学生は、細部への強いこだわりから、卒論の質を高い水準に持って行ける潜在能力もある。困難と強みは表裏一体である。

LD(学習障害)と卒論

LDの特性は、読み書き計算などの特定領域の困難である。卒論では以下のような困難が生じやすい。

  • 先行研究の長文が読めない、読み込むのに人並み以上の時間がかかる
  • 文章化する作業が極端に苦手
  • 数式や統計の理解が困難
  • 文字を書く速度が遅い

LDの学生は、音声読み上げ・音声入力などのテクノロジーを活用することで、大きく状況を改善できる。技術の進化がLDの学生を強力にサポートしている。

複数タイプの併存

実際にはADHD+ASD、ASD+LDなど、複数の特性を併せ持つ学生も多い。「自分はADHDだけ」と単純化せず、複合的に自分を理解したい。

診断名にとらわれるより、「自分の具体的な困り事は何か」を明確にすることが、対処の実用的な起点となる。診断はあくまで自分を理解するための1つの手がかりに過ぎない。

3ケース別アプローチ|診断済み/未診断/グレーゾーン

結論:「発達障害と卒論」の関係は、既に診断を受けているか、未診断か、グレーゾーンかで対応が異なる。自分がどのケースかを見極めたい。

3つのケースそれぞれに適したアプローチを整理する。自分がどのケースに近いかを見極めることで、次に取るべき行動が明確になる。

ケース1:既に診断を受けている

幼少期または過去に発達障害の診断を受けており、診断書を持っているケース。合理的配慮の申請が最もスムーズに進む。

  • 大学の障害学生支援室に診断書を提出
  • 合理的配慮の内容を相談
  • 指導教員への配慮内容の伝達を大学経由で行う

幼少期の診断書がある場合、成人期の特性と一部異なる可能性もある。必要に応じて最新の意見書を医師に依頼したい。

ケース2:未診断(疑いあり)

「自分は発達障害かもしれない」と感じているが、正式な診断は受けていないケース。まず医療機関での診断を受けるかを検討する。

  • 大学の保健センターで相談
  • 紹介状で心療内科・精神科へ
  • 成人の発達障害診断には数ヶ月かかる場合がある
  • 診断を受けた後、合理的配慮の申請

診断は「レッテル貼り」ではなく、自分を理解するための情報である。診断を受けることで、自分の特性を知り、適切な対処が可能になる。「診断を受けることで自分が変わってしまう」と怖れる必要はない。

ケース3:グレーゾーン(診断まで至らない)

発達障害の特性はあるが、診断基準を満たすほどではない「グレーゾーン」のケース。合理的配慮の申請は難しいが、大学の学生相談室での相談は可能である。

  • 学生相談室でのカウンセリング
  • ライティングセンターの活用
  • 特性に合った工夫の実践
  • 指導教員への個別相談

診断がなくても、自分の特性を理解して工夫することは可能である。この記事の後半で紹介する具体的なテクニックが有効である。グレーゾーンの学生は「診断ほどではないが、生きづらさはある」状態であり、支援を求める価値は十分にある。「診断されていないから相談してはいけない」という遠慮は不要である。

合理的配慮の権利|障害者差別解消法の視点

結論:合理的配慮は「お願い」ではなく、障害者差別解消法に基づく学生の正当な権利である。この権利を正しく理解して活用したい。

多くの学生は「配慮をお願いするのは申し訳ない」と感じるが、それは間違った理解である。以下で合理的配慮の権利を整理する。

障害者差別解消法とは

2016年施行の法律で、国公私立を問わず全ての大学に、障害のある学生への合理的配慮の提供を義務付けている。2024年からは民間事業者にも義務化された。

大学側には配慮を提供する法的義務があり、学生側には配慮を求める正当な権利がある。これは「お願い」ではなく、法に基づく権利義務関係である。「申し訳ない」という感情を持つ必要はない。

卒論での合理的配慮の例

卒論に関して受けられる合理的配慮の例を以下に示す。大学によって内容は異なるが、多くはこの範囲内で対応される。

  • 指導教員との面談時間の延長
  • 指示を文書で受ける権利
  • 提出期限の延長(合理的な範囲で)
  • テーマ設定への支援
  • スケジュール管理の支援
  • 個別の作業スペースの提供

合理的配慮の限界

合理的配慮には限界もある。以下は合理的配慮の範囲を超える。

  • 卒論そのものを免除すること
  • 他人に代筆してもらうこと
  • 本質的な卒業要件を変更すること

「配慮」は「代行」ではない。卒論を書くのはあくまで学生自身であり、その環境を整えることが配慮の目的である。この違いを理解することが、合理的配慮を正しく活用する上で最も重要である。

大学の障害学生支援室(アクセシビリティセンター)の活用

結論:多くの大学には障害学生支援を専門とする部署がある。この部署を最大限活用したい。

大学の障害学生支援室は、合理的配慮の窓口として機能している。呼び方は大学によって異なるが、機能は共通している。

部署名の例

  • 障害学生支援室
  • アクセシビリティセンター
  • 特別支援室
  • バリアフリー推進室
  • 学生相談・特別支援センター

自分の大学にどのような部署があるか、大学の公式サイトで検索したい。「大学名+障害学生支援」または「大学名+アクセシビリティ」で見つかることが多い。

支援室でできること

支援室では、合理的配慮の申請だけでなく、様々な支援を受けられる。

  • 合理的配慮の申請と調整
  • 指導教員との仲介
  • 大学院生などの支援員の派遣
  • 作業スペースの提供
  • 個別の学習支援
  • 心理面での相談

利用の心理的ハードル

「支援室に行くのは申し訳ない」「大袈裟に感じる」と感じる学生も多いが、利用は権利である。躊躇せずに活用してほしい。

支援室のスタッフは、こうした相談を専門的に扱う訓練を受けている。「大したことない」相談でも歓迎される。他の学生も同じような悩みで訪れており、決して珍しい相談ではない。

合理的配慮を受けるまでの5ステップ

結論:合理的配慮を受けるには、以下の5ステップで手続きを進める。段階的に進めることで、確実に配慮を得られる。

合理的配慮の申請プロセスは、多くの大学で共通している。慣れないうちは難しく感じるが、支援室スタッフが伴走してくれる。1人で全てを進める必要はない。

ステップ1:自分の困り事の整理

まず自分がどんな場面で、どんな困り事を抱えているかを整理する。具体的であるほど、適切な配慮が受けられる。

  • 「教授の抽象的な指示が理解できない」
  • 「長時間の集中が続かない」
  • 「文字を書く速度が遅い」

「困っている」の抽象的な表現ではなく、具体的な場面と行動レベルで整理することが重要である。ノートやメモに書き出しておくと、支援室での相談がスムーズに進む。

ステップ2:診断書・意見書の準備

合理的配慮を受けるには、多くの場合、専門医の診断書や意見書が必要である。まだ診断を受けていない場合は、まず医療機関を受診したい。

大学の保健センターから医療機関を紹介してもらえることもある。診断には数週間から数ヶ月かかる場合があるため、早めの行動が重要である。特に卒論の締切が迫っている場合、可能な限り早く動き出したい。

ステップ3:障害学生支援室での相談

診断書を持って、大学の障害学生支援室に相談する。スタッフが具体的な配慮内容を一緒に考えてくれる。

  • 初回面談で状況を共有
  • 希望する配慮内容を伝える
  • 大学として提供可能な配慮を確認

初回面談は30分〜1時間程度が標準的である。緊張するかもしれないが、支援室のスタッフは何百人もの学生を見てきた専門家である。安心して話してほしい。

ステップ4:配慮内容の合意形成

大学・学生・指導教員の3者で配慮内容の合意を形成する。大学が仲介役となる。

この段階で、学生が直接指導教員に交渉する必要はない。大学が代わって伝えてくれる。心理的な負担が大幅に減る仕組みである。もし指導教員が配慮に難色を示した場合も、大学が調整に入ってくれる。

ステップ5:配慮の実施と見直し

合意した配慮を実施し、必要に応じて内容を見直す。状況が変われば、配慮内容も変更できる。

配慮は固定的なものではない。「配慮を受けてみて、実際にはこれも必要だった」という追加の相談も可能である。定期的に支援室スタッフと状況を共有することで、配慮の質が高まる。

特性別の具体的な工夫

結論:合理的配慮に加え、自分でできる具体的な工夫もある。特性別に整理する。

診断を受けていない場合でも、これらの工夫は有効である。

ADHD向けの工夫

集中の持続困難・先延ばし・計画性の弱さに対する工夫を紹介する。

  • ポモドーロテクニック(25分作業→5分休憩)を活用
  • 作業を極限まで細分化(1タスク15分以内)
  • タイマーを常に使う
  • 作業場所を固定(自宅より図書館・カフェが有効)
  • スマホの通知を全てオフ
  • 締切を「実際の締切より2週間早く」設定

ADHDの学生は「刺激のある環境」の方が集中できることがある。静かな図書館より、適度な雑音のあるカフェの方が生産性が上がるケースもある。自分に合う環境を実験的に見つけたい。

ASD向けの工夫

抽象的な指示・完璧主義・こだわりに対する工夫を紹介する。

  • 指導教員の指示を「具体的に何をするか」に翻訳する
  • 疑問があれば必ず確認(遠慮しない)
  • 「7割の完成度でOK」の基準を意識的に持つ
  • 過去の卒論を「見本」として真似る
  • 感覚過敏があれば、静かな作業環境を確保
  • ルーティンを作り、毎日同じリズムで進める

「まとめる」「工夫する」「深める」といった抽象語を教員から言われたら、「具体的にどのような手段でどこまでやればいいですか」と必ず質問してほしい。この確認は失礼ではなく、むしろ真剣に取り組む姿勢の証明である。

LD向けの工夫

読み書き計算の困難に対する工夫を紹介する。

  • 音声読み上げソフトの活用(先行研究を音声で読む)
  • 音声入力ソフトの活用(話しながら文章化)
  • マインドマップで構造を可視化
  • 統計解析はソフトの支援を最大限活用
  • 大学のライティングセンターの活用

近年はスマホやパソコンに標準で音声読み上げ・音声入力機能が搭載されている。特別なソフトを買わなくても、既存のツールで大幅に負担を減らせる。

業界内部視点|「発達障害と卒論」の3パターン

結論:「発達障害と卒論」で相談に来る学生は3つの典型パターンに分かれる。自分がどのパターンかを理解することで、取るべき対策が明確になる。

累計6,000件超の相談実績を通じて見えてきた、3つの典型パターンを整理する。

パターンA:診断済み・支援制度活用型

既に診断を受けており、大学の合理的配慮も活用しているタイプ。着実に卒論を進められる状態である。

このタイプは、支援制度をさらに使いこなすことで、卒論の質を高められる。相談の内容も具体的な特性別工夫が多い。このパターンの学生の卒業率は非常に高く、多くが充実した卒論を完成させている。

パターンB:未診断・大学に相談していないタイプ

特性はあるが診断を受けておらず、大学の支援制度も活用していないタイプ。相談者の中で最も多い層である。

このタイプは、まず大学の学生相談室・保健センターに相談することを強く推奨する。診断につながらなくても、支援は受けられる。この一歩を踏み出せない学生が最も多く、それが結果として最悪の状況を招くことがある。

パターンC:家族・支援者からの相談

本人ではなく、家族や支援者からの相談。学生本人が状況を伝えられない場合に多い。

このタイプでは、まず本人と大学の障害学生支援室が繋がることが最優先である。家族はあくまでサポート役に徹したい。家族が本人の代わりに交渉することは、短期的には楽でも、長期的には本人の主体性を奪う可能性がある。

家族・保護者ができる支援の仕方

結論:発達障害のある学生の卒論を、家族・保護者がサポートする際には、いくつかの重要な原則がある。

家族の役割は「代わりに書く」ことではなく「環境を整える」ことである。以下で具体的な支援方法を整理する。

代筆はしない、環境を整える

本人の代わりに書くことは、支援ではなく、本人の成長機会を奪うことになる。できることは「書ける環境を整える」ことである。

  • 集中できる場所の確保
  • 食事・生活リズムのサポート
  • スケジュール管理の相談相手
  • 感情の受け止め役

代筆は倫理的にも学術的にも問題があるだけでなく、本人が「自分で書き上げた」という達成感を得る機会も奪う。この達成感は、卒業後の人生に大きな影響を及ぼす。

大学との連携をサポート

本人が大学の支援制度を活用できるよう、情報提供と背中を押す役割が重要である。

  • 障害学生支援室の存在を伝える
  • 本人と一緒に窓口に行く(希望があれば)
  • 合理的配慮の権利を伝える

ただし、本人の同意なく家族が大学に連絡することは避けたい。プライバシーと主体性を尊重する姿勢が重要である。

プレッシャーをかけない

「卒業できないと就職はどうするの」といったプレッシャーは、本人を追い詰めるだけである。結果より過程を評価する姿勢が重要となる。

9月卒業や休学など、複数の選択肢があることを伝えることで、本人の心理的な余裕が生まれる。「今年ダメでも人生は終わらない」という視点が、実は最も本人を前に進める力となる。

選択肢の1つとしてのレポートビズ|参考資料としての活用

結論:発達障害のある学生にとって、まず優先すべきは大学の障害学生支援室・合理的配慮の活用である。参考資料としての外部支援は、その次のステップとして慎重に位置づけたい。

ここまでの記事で、当社は自社サービスへの誘導を意図的に強く抑制してきた。発達障害のある学生は、まず正当な権利である合理的配慮を最大限活用すべきであり、外部支援は補助的な役割に留めるべきだと考えるためである。

レポートビズのような法人型サービスは、業界内で「代行」と呼ばれることが多いが、当社では「参考資料としての活用」という位置づけを推奨している。特性による困難を抱える学生にとっては、プロが作成した参考文の構成を「見本」として活用することで、抽象的な指示に困る状況の助けになる場合がある。

ただし、代行への丸投げは避けてほしい。合理的配慮は「代行」ではなく「環境調整」を目的とするものであり、卒論を書くのはあくまで学生自身である。まず大学の障害学生支援室・保健センター・学生相談室に相談することを最優先としてほしい。

発達障害と卒論に関するよくある質問(FAQ)

「卒論と発達障害」に関して、当社に寄せられる代表的な質問をまとめた。

Q1. 自分が発達障害かどうか、どこで診断できますか?

まず大学の保健センターに相談し、必要に応じて心療内科・精神科の紹介を受けるのが最も確実な方法である。成人の発達障害診断は、数週間から数ヶ月かかる場合がある。

ネット上の自己診断テストは参考程度に留めたい。正式な診断は専門医のみができる。

Q2. 合理的配慮を申請すると、就活に影響しませんか?

大学が本人の同意なく、就活先の企業に配慮内容を伝えることは基本的にない。大学内での情報は守秘義務で保護される。

就活の場面で開示するかどうかは、本人が判断する事項である。「一般枠」で応募することも、「障害者雇用枠」で応募することも選べる。

Q3. 指導教員に発達障害を伝えるべきですか?

直接伝える必要はない。大学の障害学生支援室経由で伝えるのが標準的な方法である。

直接伝えるべきかどうかは、指導教員との関係性・大学のシステムによる。大学の支援室スタッフに相談して判断したい。

Q4. 診断書がなくても支援は受けられますか?

正式な合理的配慮の申請は診断書が必要な場合が多いが、学生相談室・ライティングセンターなどの一般的な支援は診断書なしで利用できる。

診断を受ける前でも、利用できる支援は多い。まず窓口に相談してみたい。

Q5. 提出期限の延長はどこまで認められますか?

大学・学部・状況によって異なるが、合理的な範囲内での延長は認められることが多い。ただし卒業要件との兼ね合いがあり、大きな延長は9月卒業などになる場合もある。

まず大学の教務課と障害学生支援室に相談したい。

Q6. 発達障害でも卒論を書き上げた先輩はいますか?

多くいる。合理的配慮を活用し、自分の特性に合った工夫を取り入れることで、卒論を完成させた先輩は数多い。

大学の障害学生支援室では、こうした先輩の事例を紹介してくれることもある。「自分だけができないのでは」と孤独にならないでほしい。

Q7. 家族としてどこまで手を出していいですか?

「環境を整える」ところまでで、実際の執筆は本人に任せることを推奨する。代筆は本人の成長機会を奪う。

大学の障害学生支援室への同行、生活面のサポート、精神的な支えは、家族の重要な役割である。

まとめ|あなたには権利がある

「卒論と発達障害」の関係は「特性で困難を感じるのは決して甘えではなく、法的に配慮を受ける権利がある」ということが最も重要である。障害者差別解消法は、あなたに合理的配慮を求める正当な権利を保障している。

累計6,000件超の相談実績から見えた実態は、「発達障害と卒論」で相談に来る学生の多くが、大学の支援制度を活用しきれていないという事実である。診断済み・未診断・グレーゾーンのいずれのケースでも、大学の学生相談室・保健センター・障害学生支援室での相談は可能である。まずここに繋がることが、最も重要な第一歩となる。

  • 発達障害の特性で卒論に困難を感じることは「甘え」ではなく脳の特性による自然な現象である
  • 発達障害の3タイプ(ADHD・ASD・LD)によって困難の現れ方が異なる
  • 診断済み・未診断・グレーゾーンの3ケース別に対応が異なる
  • 障害者差別解消法により、大学には合理的配慮の提供義務がある
  • 大学の障害学生支援室(アクセシビリティセンター)を最大限活用する
  • 合理的配慮の申請は5ステップで進める
  • 特性別の具体的な工夫を取り入れる
  • 家族の役割は「代筆」ではなく「環境を整える」ことである

より詳細な情報は、卒論ボロボロ|心身の限界サインと回復ケア5段階の指針卒論ひどいと感じたら|原因3分類と立て直しの現実解卒論薄っぺらい|7症状の診断と厚みを出す10技法卒論一人で書く|自主執筆のメリット・デメリットと戦略卒論教授怖い|恐怖感の3層と教授5タイプ別の関係改善法もあわせて参照してほしい。

「発達障害で卒論が書けない」と1人で抱え込まないでほしい。まず大学の保健センター・学生相談室・障害学生支援室に相談することを、この記事を読んだ今日から始めてほしい。レポートビズのような法人型サービスも「参考資料としての活用」という位置づけであり、代行への丸投げは推奨しない。合理的配慮は「代行」ではなく「環境調整」であり、卒論を書くのはあなた自身である。あなたには権利がある。その権利を使って、あなたのペースで卒論を仕上げてほしい。あなたは1人ではない。

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