最終更新日:2026年8月19日
この記事でわかること
- 企業が800字の志望動機を指定する3つの意図
- 800字だから起きる「膨らませ方の壁」3類型
- 800字の段落配分の黄金比(5段落モデル)
- 400字を800字化する原体験の膨らませ手順
- 中期(3年)・長期(10年)ビジョンの書き分け
- 段落分けと読みやすさの設計
- 業界別800字ミニ例文(金融・メーカー・IT)
- 書き上げた後の削減・追加テクニック
- 面接での800字深掘り対応
執筆:レポートビズ編集部
2021年5月の開業以来、累計6,000件超の作成・添削依頼に対応してきた編集チームが、ES志望動機800字の書き方を体系的に整理している。段落配分の黄金比・原体験の膨らませ手順・中長期ビジョンの書き分け・読みやすさの設計まで、長文設問特化の実務ガイドとして構築した。
「志望動機800字が埋められない」「400字なら書けるが800字だと冗長になる」「段落をどう分けたらよいか分からない」——このキーワードで検索する就活生の悩みは、志望動機そのものの書き方ではなく「長文特有の設計技術」にある。
結論から言えば、800字の志望動機は「①結論(80字)、②原体験(240字)、③業界と企業選択(200字)、④中長期ビジョン(200字)、⑤結論の再提示(80字)」の5段落配分が黄金比である。400字を800字にする際は、原体験の具体化と中長期ビジョンの解像度アップに投資する。文字数を稼ぐための冗長表現は逆効果で、企業に「志望度が低い」と伝わってしまう。800字だからこそ「情報量ではなく深掘りの深さ」で勝負する意識が必要である。
志望動機の基本構造・6ステップの詳細については、親記事「ES志望動機の書き方」を参照してほしい。本記事では、800字という長文設問に特化して、段落配分・膨らませ手順・ビジョンの書き分け・読みやすさの設計・面接接続を実務的に整理する。
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企業が800字を指定する3つの意図
結論:企業が400字ではなく800字を指定する意図は「①志望度の本気度の測定、②言語化能力の測定、③応募者の足切り」の3点に集約される。この3つの意図に応える書き方をしないと、たとえ800字を埋めても評価されない。
3つの意図を順に整理する。
意図①:志望度の本気度の測定
800字を書くには相応の時間と労力が必要である。就活攻略論の解説でも「企業はあえて手間がかかる800字に設定して、応募者の本気度を量っているのです」と指摘されている。志望度の低い企業には、就活生は800字を書ききれない。
企業は「本気の志望者を選別する装置」として800字を使う。この認識があれば、800字の指定は「本気度を証明するチャンス」に見え方が変わる。
意図②:言語化能力の測定
キャリアパーク就職エージェントの解説でも「長文でも内容を整理できるような言語化能力を測りたい」と示されている。800字を破綻なく構成する能力は、ビジネス文書を書く力に直結する。特にコンサル・法人営業・企画職では、この能力は入社後の即戦力にも関わる。
800字で論理が散らかっているESは、たとえ内容が良くても「思考の整理力に欠ける」と判定される。段落構成と論理展開に、400字の2倍以上の注意を払いたい。
意図③:応募者の足切り
800字を課すことで、志望度の低い応募者や企業理解の浅い応募者は自然と脱落する。就活の教科書でも「400字程度の志望動機を採用する企業が多い中800字で書かせるということは、より上記の2点について詳しく知りたいという意図があります」と示されている。
足切り目的の設問では、書ききれない・冗長・空欄が多いといった応募が真っ先に落とされる。逆に、800字を丁寧に書き切れば、それだけで足切りは通過できる可能性が高い。
800字だから起きる「膨らませ方の壁」3類型
結論:800字を書けない就活生には3類型の壁がある。「①エピソード枯渇型(材料が足りない)、②冗長化型(同じ内容を言い換え)、③論点拡散型(複数トピックの並列)」である。自分がどの型かを特定すると、対処法が明確になる。
3類型を解剖する。
類型①:エピソード枯渇型
「志望理由を書き終えたら400字で終わった」というパターンである。原体験のエピソードが浅く、深掘りできる材料が少ないことが原因である。この型の対処法は「原体験の再取材」——アルバイト・ゼミ・部活などの経験を、5W1Hで詳細に思い出して書き起こす作業を行う。
1つのエピソードに対して「いつ・どこで・誰と・何を・なぜ・どのように」を全て思い出せば、150〜300字は確実に膨らむ。
類型②:冗長化型
「同じ内容を言い換えて800字を埋めた」パターンである。「魅力を感じました」「惹かれました」「共感しました」を繰り返す典型例である。ここは採用担当者が最も嫌う書き方の一つで、「志望度が低い・志望動機が浅い」と判定される。
対処法は「言い換えを削除して、その分を原体験と中長期ビジョンで埋める」ことである。冗長表現に気づけない場合は、音読して詰まる箇所を探すのが有効である。
類型③:論点拡散型
「複数の志望理由を並列に書いて800字を稼いだ」パターンである。「〇〇にも魅力を感じ、△△にも共感し、□□にも興味がある」といった書き方で、結局どれが本命の理由か伝わらない。
対処法は「メインの理由を1つに絞り、他の理由はサブとして統合する」ことである。読み手の記憶に残るのは1つの強い理由であり、複数の理由は印象を薄める。
800字の段落配分の黄金比(5段落モデル)
結論:800字は「①結論(80字)、②原体験(240字)、③業界と企業選択(200字)、④中長期ビジョン(200字)、⑤結論の再提示(80字)」の5段落配分が黄金比である。この配分に従えば、論理破綻せず読みやすい800字が組める。
5段落の各役割を整理する。
段落①②:結論と原体験
段落①(結論・80字):「私が貴社を志望する理由は、〇〇である」と結論から始める。ここで抽象語ではなく、自分の価値観を含む具体的な結論を掲げる。段落②(原体験・240字):結論の根拠となる原体験を書く。「大学2年時のカフェアルバイトで〇〇な状況に遭遇し、△△と行動した経験」といった、5W1Hが揃った具体的なエピソードが理想である。
原体験に240字を割くのが800字設計の要点である。ここが薄いと、後続の全ての段落の説得力が失われる。
段落③:業界と企業選択
段落③(業界と企業選択・200字):なぜその業界か、その業界の中でなぜこの企業かを書く。ここで親記事「ES志望動機の書き方」で解説した3階層フレーム(業界→カテゴリ→企業)を使う。同業他社と比較したときの差別化要素を必ず1つは入れる。
200字という制限の中で3階層を書くには、各階層を60〜70字に凝縮する意識が必要である。抽象的な業界特徴の説明で文字数を使いすぎないよう注意したい。
段落④⑤:中長期ビジョンと結論再提示
段落④(中長期ビジョン・200字):入社後の中期(3年)・長期(10年)ビジョンを書く。ここが800字と400字の最大の差別化ポイントである。400字なら「入社後は〇〇で貢献したい」の1文で足りるが、800字ではキャリアの成長段階まで書ける。段落⑤(結論の再提示・80字):最初の結論を、原体験・業界・企業・ビジョンの4要素を統合した表現で締めくくる。
この5段落配分は絶対ではないが、初めて800字を書く際の指針としては最も安定する型である。
400字を800字化する原体験の膨らませ手順
結論:400字を800字にする最も効果的な方法は「原体験の膨らませ」である。冗長表現で埋めるのではなく、原体験の「5W1H+感情+思考プロセス」を丁寧に描写することで、自然に文字数が増えて説得力も上がる。
膨らませ手順を3ステップで示す。
ステップ①:5W1Hの詳細化
400字版の原体験を、5W1Hで詳細化する。「大学2年のアルバイトで学んだ」→「大学2年時、家族経営のカフェで週3回・2年間続けたアルバイト経験で、〇〇な出来事に遭遇した際」といった詳細化である。
5W1Hが揃うと、読み手はエピソードの舞台を具体的にイメージできる。同じ内容でも、細部があるかないかで説得力が全く違う。
ステップ②:感情と思考の描写
「その時どう感じたか」「なぜそう考えたか」を書く。単なる事実の羅列を、内面の描写で補完する。「その時、〇〇の重要性を痛感し、△△という考えに至った」といった書き方である。
感情と思考の描写は、就活生の価値観を読み手に伝える最も強力な手段である。この部分は「その人にしか書けない内容」になるため、独自性の担保にもなる。
ステップ③:行動プロセスの具体化
原体験の中で自分がどう行動したかを、時系列で具体化する。「まず〇〇に気づき、△△の仮説を立て、□□を実行した。結果として〇〇の変化が起きた」といった、行動の連鎖を描写する。
この行動プロセスは、面接での深掘りにも答えられる素材になる。原体験の膨らませは、面接準備を兼ねると考えたい。
中期(3年)・長期(10年)ビジョンの書き分け
結論:800字だからこそ書けるのが、中期(3年後)と長期(10年後)のキャリアビジョンである。この2つを段階的に書くことで、キャリアプランの解像度と入社意欲の本気度が同時に伝わる。ただし「なりたい役職」ではなく「実現したい仕事の状態」で書くのが原則である。
ビジョンの書き分けを整理する。
中期(3年)ビジョンの書き方
中期(3年)は「入社後の実務での成長」を書く。「入社後3年で〇〇業務の中で△△の専門性を身につけ、□□の課題解決に貢献できる状態を目指す」といった書き方である。3年目はまだ管理職ではないため、専門性と業務遂行力の獲得を軸にする。
中期ビジョンは、志望企業の若手のキャリアパスと整合させると説得力が上がる。企業のインタビュー記事や採用ページで、若手社員の3年目の姿を確認したい。
長期(10年)ビジョンの書き方
長期(10年)は「実現したい仕事の状態・社会的インパクト」を書く。「10年後には、〇〇領域のプロフェッショナルとして、△△の課題解決を主導する立場で貢献したい」といった書き方が理想である。役職ではなく、社会や業界に与えたい影響を書く。
「部長になりたい」「役員を目指す」といった役職の目標は避ける。役職は結果であり、目的にはならない。何を実現したいかを主軸にすることで、志望動機の芯が保たれる。
中期と長期の接続
中期と長期は独立ではなく接続させる。「3年で身につけた〇〇の専門性を土台に、10年後は△△を実現したい」といった連続性のある書き方が理想である。段階的な成長ストーリーが伝われば、キャリアプランの現実味が生まれる。
3年と10年で全く別の仕事を目指す書き方は、キャリアの一貫性に疑問符がつく。同じ軸の中で段階的に発展するビジョンが理想である。
段落分けと読みやすさの設計
結論:800字は必ず段落分けする。段落分けなしの800字は「読む気を失わせる壁」に見える。5段落モデルに従って明確に区切り、各段落の冒頭で「これから何を書くか」を示せば、採用担当者の読みやすさが格段に上がる。
段落分けの3ポイントを整理する。
段落数と長さのバランス
800字は5段落が理想である。3段落以下だと1段落が長すぎて読みにくく、7段落以上だと1段落が短すぎて流れが分断される。5段落モデル(80字・240字・200字・200字・80字)が、読みやすさと情報密度のバランスが取れる。
ES提出フォームで段落分けが反映されるかは事前に確認したい。Web入力の中には改行が消える形式もあるため、その場合は「まず」「次に」「最後に」といった接続詞で段落を区切る。
段落冒頭の役割宣言
各段落の冒頭で「これから何を書くか」を示す。段落②なら「この考えに至った原体験は〇〇である」、段落③なら「業界の中で貴社を選ぶ理由は〇〇である」、段落④なら「入社後は、以下のキャリアを目指したい」といった、段落の主題を先に示す一文を置く。
役割宣言があると、採用担当者は「次に何を読むか」を予測できる。長文でもリズムよく読める設計になる。
文の長さのリズム
1文の長さは40〜80字を目安にする。100字を超える長文が続くと、読み手の集中力が切れる。長い文と短い文を交互に置くと、リズムが生まれて読みやすい800字になる。
音読して詰まる箇所は、文が長すぎるサインである。読点で区切るか、2文に分割することを検討したい。
業界別800字ミニ例文(金融・メーカー・IT)
結論:業界ごとの800字例文を金融・メーカー・ITの3業界で示す。骨格構造(5段落モデル)は共通で、原体験と企業選択理由の内容が業界特性で変わる。自分の志望業界の骨格を掴む参考にしてほしい。
業界別の設計例を示す。
金融業界の設計例
結論段(80字):「顧客の事業成長に長期的に伴走する仕事」を実現したく、貴行を志望。原体験段(240字):家族経営のカフェで店主が地元金融機関の担当者に事業相談する姿を見た経験→金融の存在意義を実感。業界と企業選択段(200字):金融の中でも法人業務→貴行の中堅企業向け〇〇プログラム。中長期ビジョン段(200字):3年で法人担当として△△の専門性→10年で□□領域の顧客支援を主導。結論再提示段(80字):以上の理由から、貴行で〇〇を実現したい。
金融業界は「顧客との長期関係」「事業への深い理解」を軸にすると、業界特性と接続しやすい。
メーカーの設計例
結論段(80字):「生活者の課題を製品開発で解決」する仕事を実現したく、貴社を志望。原体験段(240字):大学ゼミで高齢者向け生活支援プロダクト調査→既存製品の課題を発見→使い手の心理配慮の重要性を実感。業界と企業選択段(200字):メーカーの中でも消費財→貴社の〇〇シリーズの生活動線を起点とした設計思想。中長期ビジョン段(200字):3年で△△領域の商品企画→10年で□□の社会課題に応える製品を主導。結論再提示段(80字):以上の理由から、貴社で持続的な価値提供に貢献したい。
メーカーは「製品を通じた課題解決」「使い手起点の設計思想」を軸にすると業界特性と合う。
IT業界の設計例
結論段(80字):「テクノロジーで業務課題を根本解決」する仕事を実現したく、貴社を志望。原体験段(240字):インターンでの業務改善提案→Excelマクロで手作業を自動化→現場の労働時間削減を実感。業界と企業選択段(200字):IT業界の中でも業務システム領域→貴社の〇〇業界特化型ソリューション。中長期ビジョン段(200字):3年でエンジニアとして△△技術の専門性→10年で□□領域のDXを推進する立場に。結論再提示段(80字):以上の理由から、貴社で日本企業のDXに貢献したい。
IT業界は「技術による課題解決」「業界特化型ソリューション」を軸にすると企業選択の理由が書きやすい。
書き上げた後の削減・追加テクニック
結論:書き上げた800字は必ず推敲する。文字数が超過した場合は「冗長表現の削除・重複内容の統合・修飾語の削減」で対応し、不足した場合は「原体験の詳細化・中長期ビジョンの深掘り」で埋める。文字数を稼ぐための冗長表現は絶対に避けたい。
削減と追加のテクニックを整理する。
削減テクニック(超過時)
削減対象の第1は冗長表現である。「〜と思います」「〜ということができます」「〜という形で」「非常に」「大変」「まさに」といった無意味な修飾を全て削除する。これだけで50〜100字は削減できる。
第2は同じ内容の言い換えである。段落内で似た内容が2箇所ある場合、片方を削除して統合する。第3は前提説明の削除。「〇〇業界とは△△の業界であり」といった、採用担当者が既に知っている前提の説明は削除する。
追加テクニック(不足時)
追加は原体験の詳細化から始める。「アルバイトで学んだ」→「大学2年時、〇〇の状況で△△の判断を求められ、□□と行動した経験から学んだ」といった具体化で、100〜150字は自然に増える。
次に中長期ビジョンの深掘りである。「入社後貢献したい」→「3年後は〇〇業務で△△の専門性を築き、10年後は□□領域のプロとして◇◇を実現したい」といった段階化で、100字程度は伸ばせる。それでも足りなければ、原体験に対する自分の思考や感情の描写を追加する。
絶対に避けたい膨らませ方
「〜だと思います」「〜と考えています」といった冗長な文末で埋めるのはNGである。同じ意味の言い換えを繰り返すのもNG。「貴社の〇〇に魅力を感じ、〇〇に惹かれ、〇〇に共感し」といった重複表現は、志望度の低さの証明になる。
あばば大学の解説でも「まず文字数を気にせずまとめ、冗長な表現や分かりにくい言い回しを少しずつ削除すれば、熱意が伝わる志望動機を容易に作成できます」と示されている。膨らませと削減は行き来しながら仕上げるのが理想である。
面接での800字深掘り対応
結論:800字のESは、400字よりも深く面接で掘られる。ESに書いた原体験・業界選択・中長期ビジョンの各段落に対して、それぞれ想定質問を用意しておく必要がある。ESと面接の一貫性が崩れると、通過しても後で落ちる。
深掘り対応の3ポイントを整理する。
原体験段の深掘り想定
原体験に240字を割いた分、面接では細部を問われる。「その時、他の選択肢はなかったのか」「なぜその判断をしたのか」「同じ状況が今起きたら、どう行動するか」といった質問が想定される。
ES提出前に、原体験の各文に対して「なぜ」を3回投げて答えられるか確認する。答えられない箇所は削除するか書き直す。
中長期ビジョンの深掘り想定
中長期ビジョンには具体的な質問が飛ぶ。「3年目に△△を目指す根拠は?」「10年後の姿を実現するために、今から何を準備するか?」「途中で方向転換する可能性はあるか?」といった問いに答えられる状態にしておきたい。
ビジョンの実現に必要な具体的スキル・経験・資格を、事前に整理しておくと応答が具体化する。
全体の一貫性チェック
800字は情報量が多いため、内部矛盾が生じやすい。「原体験から得た価値観」と「入社後のビジョン」が一貫しているか、全体を通読して確認する。ここに違和感があると、面接で必ず指摘される。
可能なら第三者に読んでもらい、「一貫性のある1つのストーリーになっているか」を評価してもらいたい。他者の目で違和感が指摘されなければ、内部一貫性は担保されている。
800字設問での「よくある失敗」と回避策
結論:800字設問で通過率を下げる失敗には決まったパターンがある。「①冗長な自己紹介から始まる、②企業説明を書きすぎる、③抽象語の繰り返し、④結論が最後まで見えない、⑤ビジョンが役職名で終わる」の5つの失敗を意識するだけで、通過率は大きく変わる。
5つの失敗パターンを整理する。
失敗①②:冗長な自己紹介・企業説明
「私は〇〇大学□□学部の△△と申します」といった自己紹介から始めるのは、ES志望動機では不要である。名前や大学名は別欄で伝わる。ここに20〜30字を使うのは大きな損失である。同様に「貴社は〇〇年創業の△△業界大手で」といった企業説明も不要。採用担当者は自社を熟知している。
800字は全て「自分の志望理由」に使う。前置きは削除して、いきなり結論から入る。
失敗③④:抽象語連発・結論不在
「社会貢献」「成長」「魅力」「共感」「感動」——これらの抽象語だけで800字を構成する典型的な失敗である。各抽象語に必ず「私にとって〇〇とは△△である」といった自分の定義を添える。定義がないなら削除する。
結論が800字読み終わっても見えないESは、書類選考で確実に落ちる。冒頭80字で必ず「私が貴社を志望する理由は、〇〇である」と言い切りたい。
失敗⑤:ビジョンが役職名で終わる
「10年後は部長になりたい」「役員を目指したい」といったビジョンは、志望動機の芯を弱める。役職は結果であって、目的にはならない。「10年後は〇〇領域のプロフェッショナルとして、△△の実現を主導したい」といった、仕事の状態で書くのが理想である。
役職を書くにしても、「〇〇を実現できる立場として、結果的にマネジメント層に到達したい」といった、役職を手段として位置づける書き方に留めたい。
ES志望動機800字に関するよくある質問(FAQ)
800字の志望動機について、よく寄せられる質問を7つに整理した。
Q1. 800字と指定されたが、どれくらいまで少なくてよいか
「800字以内」なら90%(720字)以上、「800字」なら95%(760字)以上を目安にしたい。600字台で提出すると「志望度が低い」「書ききれない能力の低さ」と判定される可能性がある。
逆に800字ぴったりや802字などの超過も避ける。780〜800字の間に収めるのが理想である。
Q2. 400字の志望動機をコピペして膨らませてよいか
400字版を骨格として活用するのは有効だが、単純に「引き伸ばす」のは避けたい。400字版の各段落を、800字版では「原体験の詳細化」「中長期ビジョンの追加」で構造的に発展させる意識で書く。
400字と800字は「情報量の違い」ではなく「掘り下げの深さの違い」と捉えたい。
Q3. 800字書けない場合はどうすればよいか
書けない原因は「エピソード枯渇型・冗長化型・論点拡散型」の3類型のどれかである。自分の型を特定し、それぞれに合った対処法を試したい。就活ハンドブックも「800字で志望動機を書くとなると、何を書いたらいいか思いつかないという方もいるでしょう。そんな時の対処法のひとつとして、企業の事業内容を深掘りしてみましょう」と示している。
企業のIR資料・中期経営計画・株主総会議事録まで読み込むと、書ける材料が一気に増える。
Q4. 段落分けは必ずするべきか
ES提出フォームで段落分けが反映されるなら、必ず段落を分ける。反映されないフォーム(Web入力の一部)では、接続詞(「まず」「次に」「最後に」)で段落構造を示す。
段落分けなしの800字は、採用担当者にとって「読む気を失わせる壁」に見える。
Q5. 手書きとPCではどちらがよいか
企業指定に従うのが原則である。指定がなければPCが理想である。マイナビエージェントも「書き方の指定がない場合はパソコン作成(Web提出)をおすすめします」と示している。作成効率・読みやすさ・修正のしやすさで有利である。
手書き指定の場合は、下書きをPCで作成してから清書する2段階が理想である。
Q6. 志望動機と自己PRが同じ800字で問われた場合
両者を混在させず、それぞれ独立した800字として書く。自己PRは「自分はこういう人」の説明、志望動機は「だから貴社を志望」の説明である。同じエピソードを使ってもよいが、切り取り方を変える。
両方を800字書く負荷は高い。志望度の高い企業に絞って徹底的に作り込む優先順位付けが必要である。
Q7. 箇条書きを使ってもよいか
基本は文章で書く。マイナビエージェントも「箇条書きだけでは熱意や詳細なニュアンスが伝わりにくい場合があります。『理由は以下の3点です』と冒頭で示し、その後の補足説明で想いを伝えるなど、使いどころを見極めましょう」と示している。
800字全体を箇条書きにするのは避けたい。文章の中で部分的に3点セットを使う程度に留める。
まとめ|800字は5段落モデルで、原体験と中長期ビジョンで勝負する
ES志望動機の800字は、「結論80字・原体験240字・業界と企業選択200字・中長期ビジョン200字・結論再提示80字」の5段落モデルで組む。400字からの膨らませは冗長表現ではなく、原体験の詳細化と中長期ビジョンの深掘りで対応する。文字数を稼ぐための言い換えや修飾語の連発は、志望度の低さの証明になる。800字は「情報量」ではなく「掘り下げの深さ」で勝負する設問である。段落分けと役割宣言で読みやすさを設計し、面接での深掘りを想定した内容で書けば、800字は志望度の本気度を示す最大のチャンスになる。
- 企業が800字を指定する意図:本気度測定・言語化能力測定・応募者足切り
- 書けない3類型:エピソード枯渇型・冗長化型・論点拡散型
- 段落配分の黄金比:80字-240字-200字-200字-80字の5段落モデル
- 400字→800字は原体験の5W1H・感情思考・行動プロセスで膨らませる
- 中期3年(実務での成長)と長期10年(実現したい仕事の状態)を接続
- 段落分けは必須。段落冒頭で役割宣言を置く
- 1文の長さは40〜80字、長短を交互に配置してリズムを作る
- 削減対象は冗長表現・重複・不要な前提説明
- 追加は原体験詳細化と中長期ビジョン深掘りで対応
- ES提出前に各文に「なぜ」を3回投げて、面接深掘り対応を確認
志望動機の基本構造や6ステップの詳細については、親記事「ES志望動機の書き方|添削視点の落選3型と6ステップ構成」を参照してほしい。自己PRの書き方については「ES自己PRのアルバイト経験の書き方」もあわせて参照してほしい。
800字の志望動機の書き方に不安が残る場合、参考資料としての外部活用も選択肢となる。レポートビズのES作成・添削サービスのような、ES作成・添削を業として請け負うサービスに相談してみるのも1つの道である。公式LINEから匿名で無料相談ができるので、まずは現状の相談から始めるのが安全な出発点となる。
ただし、外部の作成物をそのまま提出することは推奨できない。あくまで参考資料として活用し、最終的なESは自分の言葉と自分の経験で仕上げることが原則である。800字だからこそ、自分の中に消化された内容で書くことが、面接での一貫性につながる。
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